2017/10/15

ポロ祭り




この家に引っ越してきたのは去年の12月。
ベランダはないが、家の裏にうち所有の大きな庭があるためベランダ代わりのように使用している。

引っ越して間も無くのある日のこと、その庭に見覚えのない車が停まっていた。
その持ち主は私たちの階下に住む男、街の誰もが知るポロ(フォルクスワーゲンの車の一種)フリークである。 本来なら共同である駐車場に一人で5台はポロを停めているような男である。
挨拶くらいしかしたことはないが、太り気味で人当たりもよく愛想はいい感じである。


もうポロを停めるスペースがないのだな、と冬で庭を使う機会も少なかったのでしばらく放置していたが、3月になっても4月になっても車が動かされる気配がない。


5月に入り遂に「今週末までにうちの庭に停めてある黄色の車を動かしてください」とお願いしたところ、一つ返事で「問題ない」と返ってきた。
そしてその週末私たちが庭で目にしたのは黄色のポロの代わりに停められていた朱色のポロであった。

 
「黄色のポロを動かせ」と言ったので代わりに違う色を持ってきたとか!
その熊のような優しい風貌からは予想もできない行動に一同笑うしかなかったのである。





それからしばらくし、場所を見つけたのか車は庭から消えていた。



これが彼の所有するポロの一部である。
聞くところによると、彼は他にも友人の家に3台、職場に2台、実家にも何台かポロばかりを所有し改造に勤しんでいるという。
 

そして今日もポロに大きな身体をねじ込めエンジン音を響かせ街を走り回っているのである。